【完全版】安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策(試験概要と試験範囲全ての解説)

安全保障輸出管理実務能力認定試験
今回の記事は次のような方におすすめです。

・安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の受験を検討中の方、勉強中の方
・安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の試験範囲の内容を復習したい方

今回は『安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策』の完全版をお送りします。

これまで安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の試験範囲の内容を解説する記事を多数書いてきました。

しかしながら、個々の内容の記事であり、試験範囲の全体がどのようになっているか、個々の内容がどの位置付けにあるのかが分かりにくいということもありました。

そこで全体の構成を記述した上で、それぞれの構成要素ごとに簡単な解説を加え、これまで書いてきて関連記事のリンクを添付した完全版をお送りします。

安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の概要

安全保障輸出管理実務能力認定試験は、

安全保障上懸念のある貨物・技術を輸出(提供)を規制する輸出管理に関連する基礎知識、関係法令、実務上の手続き等の能力を検する試験です。

レベル順に、Associate、Advanced、Expertの3つに試験が区分されています。

はかせ
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受験して分かりましたが、実務にたずさわる方、たずさわる予定の方は、最低でもAdvancedの知識が必要だと思います。

受験勉強期間の目安は、Advancedで1.5〜2ヶ月です。

受験会場は、東京、名古屋、大阪、福岡となっており、Expertは福岡では開催されません。

概要を詳しく知りたい方は、下の記事をご覧ください。

>>【必見】安全保障輸出管理実務能力認定試験の概要(体験してわかったことも合わせて紹介)

安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の試験範囲

安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の全ての試験範囲のそれぞれの内容について簡単な解説と、詳細な解説記事のリンク先を記述します。

輸出管理の国際レジームと国内法

我々の身の回りには先端技術で作られた製品で溢れています。

それらの製品や技術は人類の暮らしを豊かにする一方で大量破壊兵器のような軍事利用のリスクも含んでおります。

現に汎用的に使用される製品や技術を利用して兵器等が作られ、尊い命が失われる事態も起っています。

先端技術やそれによって作られた製品を兵器等に流用されないように国際的な枠組み(国際レジーム)が作られました。

今では多くの国が国際レジームに参加し協力して輸出管理を行なっています。

大量破壊兵器、通常兵器に関する輸出管理の国際レジームは4つあり、

その国際レジームで決められた輸出規制の内容を外為法で日本国内に徹底しているという体制を取っています。

はかせ
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STC Advancedの試験では、国際レジームで規制されている分野、国際レジームと国内法の関係についてよく問われます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】輸出管理の国際レジームと国内法(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

貨物の輸出規制

輸出する製品等の貨物の中には、

大量破壊兵器や通常兵器に使用されるリスクのあるものが多数あり、

どのような貨物が規制されるかについては、国際レジームにおいて詳細に決められ、日本国内では外為法関連法令で徹底が図られています。

一見すると大量破壊兵器などに使用できるとは思えない貨物であっても流用されるリスクがあります。

貨物の輸出規制では、

貨物の性能に着目したリスト規制と、

用途や需要者に着目したキャッチオール規制

あります。

はかせ
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STC Advancedの試験では、貨物の輸出規制に関連する国内法(輸出令、貨物等省令)、リスト規制の対象となる品目についてよく問われます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】貨物の規制(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

技術提供の規制

提供される技術の中には大量破壊兵器などに使用できる技術が一部あります。

技術提供の規制においては、

技術の種類

対象となる技術の形態(デジタルデータ、紙媒体、技術指導など)、

誰から誰に提供するか(居住者と非居住者)、

どこで提供するか(国内と海外)、

によって規制され許可が必要な場合とそうでない場合に分かれます。

はかせ
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STC Advancedの試験では、技術の関連用語の定義、居住者と非居住者の定義、規制の対象となるケースについてよく問われます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】技術提供の規制(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

貨物の輸出における特例

部分品特例

リスト規制の対象の貨物であっても、他の貨物の部分品である場合は、特定の条件を満たすことで、リスト規制の対象外として扱うことができる特例になります。

他の貨物の一部の機能を担っており

正当に組み込まれている部分品のうち、

他の貨物の主要な要素となっていない場合は

リスト規制に該当しない貨物として扱うことができます。

はかせ
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STC Advancedの試験では、部品単品への10%ルールの適用、複数の部品が組み込まれている場合の10%ルールの適用についてよく問われます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】部分品特例(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

無償特例

無償特例とは、無償で輸出入する貨物の中で、一定の条件で満たすものは輸出許可が不要となる特例です。

例えば、

過去に日本から輸出された貨物で、修理のために日本に輸入して修理したのちに、再輸出される貨物

日本の博覧会などに外国から出品するために輸入された貨物で、終わったら返送される貨物

などに適用することが可能です。

はかせ
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STC Advancedの試験では、無償特例が適用できるケースについてよく問われます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】無償特例(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

少額特例

少額特例は、輸出する貨物の価格が少額の場合に、特定の条件を満たすことでリスト規制に該当しないものとして輸出許可が不要になる特例です。

大量破壊兵器、通常兵器への流用のおそれが比較的低い品目について、禁輸地域などを除く多くの地域向けの輸出に適用が可能です。

実務的にも多く使用され、試験にも頻出される特例になります。

はかせ
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STC Advancedの試験では、少額特例が適用可能な品目、適用可能地域についてよく問われます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】少額特例(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

技術提供における特例

技術の提供では、リスト規制に該当する技術の提供であっても許可なしで提供が可能なケースがいくつかあります。

例えば、

公知の技術の提供、技術を公知とするための技術の提供

基礎科学分野の研究活動における技術の提供

があります。

はかせ
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STC Advancedの試験では、技術提供の特例のケースが多くありますが、特例のケースに該当するか否かについて問う問題がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】技術提供の特例(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

キャッチオール規制

キャッチオール規制は、過去にリスト規制に該当しないような汎用の貨物や技術によって大量破壊兵器や通常兵器が作られてしまったというリスト規制の欠点を補うためにできた規制で、補完的輸出規制とも言われます。

貨物や技術のスペック(性能)で規制をするリスト規制とは違い、キャッチオール規制は貨物や技術の用途、需要者に着目した規制です。

そのため、用途要件、需要者要件によって許可が必要か否かを判断します。

はかせ
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STC Advancedの試験では、様々なケースでキャッチオール規制に該当して許可が必要か否かを判断させる問題がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】キャッチオール規制(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

仲介貿易取引・外国間等技術取引

仲介貿易取引・外国間等技術取引は、外国企業等の間の貨物の取引、技術の提供を仲介することであり、特定の条件も満たす仲介については規制の対象となり許可が必要になります。

仲介する企業の属性、取引される貨物・技術の種類、取引する国・地域によって許可の要否が決まります。

はかせ
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STC Advancedの試験では、様々なケースで許可が必要な仲介か否かを判断させる問題がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【要点まとめ】仲介貿易取引・外国間等技術取引(安全保障貿易管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

個別許可と包括許可

日本から海外に貨物を輸出する(技術を提供する)際、許可が必要な場合は、

原則として1件1件個別に許可申請をすることになっています。これを個別許可と言います。

一方で、特定の条件を満たす場合はまとめて許可を取ることができる包括許可という制度があります。

包括許可は輸出許可の手続きが個別許可に比較して簡単かつ短期間に実施できるというメリットがあります。

包括許可には、一般包括許可、特別一般包括許可、特別包括許可、特別返品等包括許可、特定子会社包括許可があります。ケースによって使用できる包括許可が異なります。

はかせ
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包括許可の種類で適用できる品目、仕向地が異なります。STC Advanced試験では一般包括許可と特別一般包括許可がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】個別許可と包括許可(安全保障輸出管理試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

特別一般包括許可

包括許可の中でも特に試験でも問われやすいのが、特別一般包括許可です。

特別一般包括許可は特一包括と呼ばれますが、適用できる品目、仕向先が他の包括許可に比べて幅広いという特性があります。

そのため、

特別一般包括許可の申請者の条件を満たすためだけで、多くの労力と時間がかかりますが、

一度条件を満たした場合は、その後の輸出許可の手続きが楽になりますので、

企業等にとってはメリットが大きい包括許可制度となっております。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】特別一般包括許可(安全保障輸出管理試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

罰則と行政制裁

外為法では必要な手続きや許可を取らずに貨物や技術を無許可で輸出(提供)した場合に、罰則と行政制裁が課されます。

貨物の輸出や技術の提供は、輸出者(提供者)に責任があり、

罰則や行政制裁は非常に重いものになっております。

輸出者の個人だけでなく、企業運営のため輸出(提供)していた場合には、企業に対しても罰則と行政制裁が加えられる仕組みになっています。

無許可輸出(提供)は、個人・企業が大きな損益を被るだけでなく国際平和にも重大な影響を与えるため絶対に回避しなければなりません。

はかせ
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STC Advanced試験では、個人への罰則内容、法人への罰則内容、罰金額の計算方法である5倍スライド規定がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】罰則と行政制裁(安全保障輸出管理試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

輸出者等遵守基準と輸出管理内部規定

貨物の輸出や技術の提供において個人や法人が守らなければならない基準(輸出者等遵守基準)と、

輸出者等遵守基準を元に企業などが組織内で作成する輸出管理内部規定があります。

輸出者等遵守基準は法令で定められているため輸出者は遵守しなければなりませんが、

輸出管理内部規定は任意で企業が作成するものです。

任意ですが作成することで、

輸出者等遵守基準の確実な履行により無許可輸出の防止につながりますし、

特別一般包括許可が取得できる等のメリットがあります。

はかせ
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STC Advanced試験では、輸出者に該当する者とは、責任者の指定、遵守事項の中の法的義務・努力規定の区分がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【徹底解説】輸出者等遵守基準と輸出管理内部規定(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

をご覧ください。

アメリカの再輸出規制

アメリカは、アメリカの国内法を外国にも適用する『域外規制』を行っています。

『域外規制』の中でも輸出管理において代表的なものが『再輸出規制』です。

アメリカ製の製品、アメリカ製の製品が組み込まれた製品、アメリカの技術で他国で作られた製品は規制の対象となっています。

それゆえ、日本の輸出者においてもアメリカの輸出規制の仕組みを理解する必要があります。

万が一、日本の企業がアメリカの域外規制に違反したならば、

罰金、禁錮、取引禁止、アメリカ政府調達からの除外などが課せられ、

アメリカと全く取引ができなくなる他、アメリカ製品を入手できなくなるなど、

かなりの痛手を被ることになります。

はかせ
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STC Advanced試験では、規制品目分類番号(ECCN)、国内移転への適用がよく出題されます。

内容の詳細は、

>>【要点まとめ】アメリカの再輸出規制(安全保障輸出管理実務能力認定試験対策)

をご覧ください。


今回は『安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策』の完全版をお送りしました。

安全保障輸出管理実務能力認定試験の試験範囲は広いです。勉強を進めていると他のところとの関連性を見失いがちになります。

試験範囲全体を見渡した上で、個々の内容を勉強していくとスムーズに勉強が進むと思いますので

ぜひ試験勉強の参考にしていただけますと幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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