【徹底解説】貨物の規制(安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策)

安全保障輸出管理実務能力認定試験
今回の記事は次のような方におすすめです。

・安全保障輸出管理実務能力認定試験の試験勉強中の方(特にSTC Advancedの合格を目指している方に最適)
・輸出管理の実務に携わっておられる方などで輸出管理の概要を確認したい方

今回も安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の内容の要点を解説していきます。

今回は『貨物の規制』についてです。

日本から海外に輸出する貨物に対する規制ですが、何でもかんでも全部輸出許可が必要というわけではなく、品目によって規制の厳しさが異なっています。輸出先の国によっては輸出許可が不要な貨物であったり、品目自体が輸出許可不要であったりします。今回はその辺りの話をしていきます。

安全保障輸出管理の基本的かつ重要な内容ですので、しっかり理解しましょう。

本記事には、基本的に要点のみを分かりやすく記載するようにしています。試験には詳細な内容も知っておく場合がありますので、併せてテキストや法律の条文などをご覧ください。

それでは早速、解説していきます。

貨物の規制の全体像

貨物の規制の法的根拠

貨物の規制の細部を解説する前に大きなところから話を始めます。まずは貨物を規制するという国内法上の根拠の条文からです。

貨物の規制についての法的根拠は、法律である外為法の第48条です。

第四十八条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

上のように第48条に、特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物を輸出するときは許可を受ける必要があります。ここでいう”政令”は、『輸出貿易管理令』を指しています。

貨物の規制の全体像

次に、貨物の規制の全体像について説明します。細かいことは後ほど説明しますので、まずはどのような枠組みになっているのかを大きく理解してください。

日本から海外に貨物を輸出する場合の規制の枠組みとしては2つあり、『リスト規制』と『キャッチオール規制』になります。リスト規制が厳しい規制で、キャッチオール規制は緩い規制というイメージです。

日本から海外に輸出するあらゆる貨物は、リスト規制の対象品目である『リスト規制品』か、キャッチオール規制の対象品目である『キャッチオール規制品』か、『リスト規制、キャッチオール規制のいずれにも該当しない品目』のいずれかに該当することになります。具体的にどのようなものがいずれの規制に該当するかは、後ほど説明します。

リスト規制対象品目、キャッチオール規制対象品目で輸出許可が必要な地域が異なります。リスト規制は厳しい規制ですので、対象地域は全地域になります。よってリスト規制品を輸出しようとするときは、仕向先がどの国であったとしても、”基本的には”輸出許可を取る必要があります。

”基本的には”と書きましたが、実は特例がありリスト規制品の場合も許可が不要な場合があります。少額特例などです。これについては今後、別の記事で解説する予定です。

キャッチオール規制は、リスト規制よりも緩い規制と言うことで、輸出令別表第3に記載されている国については輸出許可が不要です。

リスト規制

リスト規制とは

リスト規制は国際輸出管理レジームに基づく輸出規制です。

輸出管理の国際レジームは大量破壊兵器などへの貨物や技術の転用を防ぎ、世界平和を維持することを目的としており、核兵器、化学兵器、生物兵器、ミサイル、通常兵器に関連する貨物の輸出を規制する枠組みです。NSG、AG、MTCR、WAの国際レジームがあります。【国際レジームの概要はこちら

注釈

NSG:原子力供給国グループ、AG:オーストラリアグループ、MTCR:ミサイル技術管理レジーム、WA:ワッセナー・アレンジメント

この国際レジームで規制された貨物を輸出令別表第1の1〜15項で規制しています。この輸出令別表第1の1〜15項でリスト化されている貨物を『リスト規制品』と言います。【輸出令の概要はこちら

リスト規制の対象品目

リスト規制される特定の種類の貨物の詳細については、輸出貿易管理令(輸出令)別表第1に記載があります。詳細な記載内容は条文を確認してください。【輸出令の条文はこちら

今回は、輸出令別表第1に記載されている貨物の概要を把握できる程度に抜粋することにします。下表が貨物の種類です。

リスト規制で輸出許可が必要な地域

先ほど説明した通り、全地域が輸出許可が必要な地域となりますので、リスト規制の対象品目であった場合、どの国に輸出する場合でも輸出許可が必要です。(ただし少額特例などの特例に該当する場合は、許可不要)

キャッチオール規制

キャッチオールを英語で書くと、”Catch All”です。直訳すると「全てをとらえる」となりますが、そこから派生して「雑多なものいれ」という意味です。この意味からイメージできるように、キャッチオール規制は、全ての貨物を漏れなく規制するための規制になります。

キャッチオール規制の対象品目

リスト規制で機微な貨物を規制する一方で、キャッチオール規制は、機微性の低い貨物を対象としています。リスト規制されない雑多な貨物を規制するものです。

キャッチオール規制の対象品目は、輸出令別表第1の16項が根拠になっています。下の根拠条文にある通り、全ての貨物が規制の対象になっていないことがわかります。

輸出令 別表第1 16項の記載

輸出令別表第1の16項の該当する貨物の記載は以下の通りです。

”関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)別表第二五類から第四〇類まで、第五四類から第五九類まで、第六三類、第六八類から第九三類まで又は第九五類に該当する貨物(一から一五までの項の中欄に掲げるものを除く。)”

関税定率法上、該当する貨物を列挙すると話が脱線するので記載は割愛しますが、確認したい方はこちらからどうぞ。

リスト規制対象品目、キャッチオール規制対象品目のいずれにも当てはまらない品目は、規制の対象外であるので輸出許可は不要になります。

キャッチオール規制で輸出許可が必要な地域

キャッチオール規制で輸出許可が必要な地域は、輸出令別表第3の地域を除く全地域となっています。

輸出令別表第3の地域

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国


今回は『貨物の規制』について解説しました。重要かつ基本の分野ですのでしっかり理解しましょう。

なお、本サイトでは他にも安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の試験範囲の解説記事を掲載していますのでご確認したい方は

>>【完全版】安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策(試験概要と試験範囲全ての解説)

をご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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