【徹底解説】個別許可と包括許可(安全保障輸出管理試験(STC Advanced)対策)

安全保障輸出管理実務能力認定試験
今回の記事は次のような方におすすめです。

・安全保障輸出管理実務能力認定試験の試験勉強中の方(特にSTC Advancedの合格を目指している方に最適)
・輸出管理の実務に携わっておられる方などで輸出管理の概要を確認したい方

今回は、安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の試験範囲である『個別許可』と『包括許可』について解説します。

日本から海外に貨物や技術を輸出(提供)する際、原則として許可が必要な貨物や技術の場合は1件1件個別に許可申請をすることになっています。これを個別許可と言います。一方で、特定の条件を満たす場合はまとめて許可を取ることができる包括許可という制度があります。包括許可は輸出許可の手続きが個別許可に比較して簡単かつ短期間に実施できるというメリットがあります。

今回は、個別許可と包括許可について詳しく内容を解説していきます。

受験勉強をされておられる方、内容をおさらいしたい方の参考になると思いますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。

個別許可

輸出許可は、1件1件、許可申請することが原則になっています(個別許可)

しかし、1件1件やると手続きが面倒で、時間もかかることから、一定の要件も満たせば、包括許可が与えられる仕組みになっています。

個別許可の申請者

『輸出許可の申請者は、輸出しようとする者本人が原則』となっています。

この際、居住者や非居住者は関係なく、所有権の有無も関係ありません。

法人の場合は、代表者が輸出しようとする本人となりますので、企業の代表者、すなわち社長等になることになります。

また、本人が原則ですが、代理で申請することも認められています。委任状を作成することで代理で申請できます。

個別許可の申請手続き

貨物も技術も契約単位で申請をする必要があります契約単位でやっていることを証明する為に、契約書(取引の内容を確認できる書類でも可)の提出が必要です。

個別許可申請の場合ですと、経済産業省に出向いて輸出許可申請を実施しても最速で3日程度となっております。書類に不備があればこれよりも遅くなってしまうので、輸出許可申請自体で時間を要してしまいます。

個別許可の有効期限

個別許可の有効期限は、6ヶ月です。

包括許可

包括許可とは、一定の要件も満たしたものは、まとめて許可を得ることができる制度です。

輸出の手続きが簡単かつ短時間にできるようになりますので、実用的な許可制度となっています。

例えば、個別許可の場合、申請して許可が下りるまでが最速3日ほどであるのに対して、特別一般包括許可の場合ですと、午前中に申請して午後に許可が下りるといったように時間の短縮を図ることができます。

包括許可にはいくつか種類がありますのでそれぞれ説明していきます。

包括許可の種類

特別一般包括許可
(特一包括)
機微度が低い品目を対象として、仕向地・品目の組み合わせ輸出を包括的に許可する制度
一般包括許可機微度が低い品目を対象として、電子申請を前提として、輸出令別表第3の地域に限定して、仕向地・品目の組み合わせの輸出を包括的に許可する制度
特定包括許可継続的な取引関係がある同一の相手に対する輸出を包括的に許可する制度
特別返品等包括許可日本に輸入された武器関係品目またはその技術で、不具合などのために輸出(返品)するものについて一括して許可する制度
特定子会社包括許可日本の子会社向けに対する品目の輸出について包括的に許可する制度
参照:経済産業省HP

包括許可の種類がたくさんありますが、どの許可制度を適用できるかは、輸出する品目や仕向地で様々です。どの許可制度を利用できるかを整理したマトリックスが経済産業省HPに掲載されているので、確認されたい方はご覧ください。

特別一般包括許可(特一包括)

提出書類は、チェックリスト受理票、特定輸出者承認書で電子申請手続きが可能です。

特別一般包括許可は特一包括と呼ばれ、ビジネス上の利便性が高いことから、試験で問題が多く出題される傾向があります。特一包括は別記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

一般包括許可

提出書類は、『統括責任者及び該非確認責任者に関する登録書』で電子申請が可能です。

統括責任者と該非確認責任者とは

「輸出者等遵守基準を定める省令」に特定重要貨物等輸出者等の遵守すべき基準が規定されています。輸出する人が絶対に守らないといけないことが書いてあるわけです。その中に

◯該否確認(リスト規制品に該当するかどうかの確認)の責任者を選任すること。(該非確認責任者)

◯特定重要貨物等輸出者等の行う業務を統括管理する責任者を選任すること。(統括責任者)

と記述があります。該非確認責任者と統括責任者は同じ人を指名することができます。

対象となる仕向地

輸出令別表第3の国に限定されています。輸出管理をする体制がきちんと取れている信頼できる国です。

輸出令別表第3の国

別表第3の国は、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国

特定包括許可

提出書類は、『チェックリスト受理票』『特定輸出者承認書』『輸出者又は取引の相手方の概説説明書』『継続的な取引実績又は見込みを示す書類』『誓約書』で、電子申請が可能です。

特定返品等包括許可

提出書類は、『許可申請書』『申請理由書』『チェックリスト受理票』『実績を示す書類』『運用体制を示した文書』『輸出又は技術の提供に係る手続きを示した文書』『輸出又は技術の提供に係る内部決裁様式』『貨物の積み戻し又は技術の回収に関する教育等のための文書』です。

特定子会社包括許可

提出書類は、『許可申請書』『明細書』『チェックリスト受理票』『誓約書遵守のための管理体制を示す書類』『監査の実績を示す書類』『特定子会社の誓約書』『最終需要者等の誓約書』です。


今回は、個別許可と包括許可について解説しました。

なお、本サイトでは他にも安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)の試験範囲の解説記事を掲載していますのでご確認したい方は

>>【完全版】安全保障輸出管理実務能力認定試験(STC Advanced)対策(試験概要と試験範囲全ての解説)

をご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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