毛筆書写技能検定 3級 受験体験記 【第1編 検定選びから受験直前まで】

毛筆書写技能検定

人生で初めて毛筆書写技能検定の3級にチャレンジしましたので、受験までの道のりについて紹介したいと思います。記事が長くなってしまうので、検定を選ぶ一番最初のところから、受験直前までを第1編、受験当日から結果発表までを第2編とします。今回は第1編です。

受験勉強スタートのレベルは小学生の時に習字の授業で習って以降、筆すら握ったことがないレベルです。もちろん、子供の頃に習字を習ったこともありません。

そんな私が、ちょうど小学校で習字を習っている子供と一緒にチャレンジしようと思い、受験勉強を始めました。

道具って何が必要?というレベルからスタートしていますので、超初心者の方で、これから毛筆検定に向けて頑張りたいと思っている方に参考になれば幸いです。

毛筆の魅力

普段の生活で筆を使って字を書くことはほとんどないので、実用的とは言えません。一昔前は、結構な割合で子供は習字を習っていましたが、最近はだいぶ減ってきたのではないでしょうか。それに加えて最近は硬筆が人気です。

そんな現代においても毛筆の魅力はあります。

一通り、検定受験までやってみて感じた魅力は

  • やっぱり毛筆で書いた字は、かっこいい!
  • 字が上手くなる。鉛筆で書く字も上手くなる。
  • 集中力が身に付く。
  • 嫌なことを忘れて、字を書くことに集中できるので、ストレス解消になる。
  • 普段、字を書くことが楽しくなる。時々、綺麗に字を書きたくなって、上手く書けたら幸せを感じる。

毛筆書写検定を受けようと決めた時は、あまり深く考えていなかったのですが、やはりやってみると色々と魅力を発見できるものです。とりあえず、やってみるというのは大切ですね。

毛筆書写の検定ってどれを受験したら良いの?

毛筆の検定を受けようと思い立ったのはいいですが、日本には毛筆書写に関係する検定がたくさんあることを知りました。ネットで検索して出てくるものをいくつか挙げてみます。

  • 毛筆書写技能検定(日本書写技能検定協会主催 文部科学省後援)
  • 全国書道検定(日本書道教育学会主催)
  • 日本書写書道検定(日本書写書道検定委員会主催)
  • 全国書道検定試験(日本書道美術館主催)

などがざっと検索しただけでもこれだけの名前が挙がります。色々な協会などが、それぞれ検定を立ち上げて実施しているようです。検定の名前もそっくりで正直ややこしいです。

これらの検定の中で、一番目の日本書写技能検定協会が主催している毛筆書写技能検定の公式HPに下記のような記載があります。

本検定は、文部科学省後援の検定試験です。

本協会では、自己の書写能力を知ることができ、合格の資格として履歴書に明記できる、

我が国で唯一、文部科学省の後援で硬筆・毛筆に関する技術と知識を審査する書写技能検定試験を年3回全国的な規模で実施しております。

引用:硬筆・毛筆の書写技能検定について

文科省後援の唯一の検定ですので、この検定を受験することにしました。

合格の資格を履歴書にも記載できますので、これから就職などを控えている方にもおすすめです。

何級を受ければ良いのか?

毛筆書写技能検定には、1級、準1級、2級、準2級、3〜6級まであり、好きな級を受験することが出来ます。4級が合格していないと3級を受験できないという事はありませんので、どなたでも好きな級から受験することが出来ます。

それぞれの級のレベルを表にまとめると、このようになります。

対象とするレベル
小学校1年生から3年生くらいまでの低学年程度
硬筆書写のもっとも初歩的技術及び知識をもって書くことができる。
小学校3年生以上程度
硬筆書写の初歩的な技術及び知識をもって書くことができる。
中学生・高校生程度
硬筆書写の基礎的技術及び知識をもって書くことができる。
中学生・高校生程度
硬筆書写一般の技術及び知識をもって書くことができる。
準2高校生・大学生・一般社会人程度
硬筆書写のやや専門的な技術及び知識をもって書くことができる。
高校生・大学生・一般社会人程度
硬筆書写の専門的技術及び知識をもって書くことができる。
準1高校生・大学生・一般社会人程度
硬筆書写のより専門的な技術及び知識をもって書くことができる。
大学生・一般社会人程度
硬筆書写の高度な専門技術及び知識をもって書くことができる。
引用:硬筆・毛筆の書写技能検定について

私が受験を経験した感覚から言うと、

子供の頃に書道を習っておらず、大人になって久しぶりに書道を始めたレベルで、練習期間が1ヶ月で、主に休日に練習ができる人の場合は、

3級がちょうど良いかなと思います。4級は結構な確率で合格できて、3級はなんとか合格できるところまではいくと思います。

ちなみに、私が3級を受験した時は、ちょうど横で準2級の試験が行われていましたが、正直言って、準2級の受験者の皆さん、めちゃくちゃ上手かったです。

私が仮に準2級を受験していたら間違いなく落ちていました。そのくらいの合格レベルが3級と準2級では、違う印象です。

申し込み方法

申し込みは公式HPからインターネット申し込みできますので、そちらからやるのが簡単です。支払いもクレジットカードで可能です。

その他の申し込み方法としては、受験願書を請求して郵送で提出する方法、協会に直接願書と受験料を提出する方法、特定の書店で申し込む方法があります。それぞれの詳細は公式HPから確認するのが良いです。

申し込み期限は、試験日のだいたい1ヶ月半前ですので、早めに申し込みましょう。

まずは道具を揃えよう

毛筆書写検定を受験すると決めましたが、全く道具がないので、私は道具を揃えることから始めました。

筆は、毛の硬さから3種類に区分されており、

硬い順から、剛毛筆(ごうもうひつ)、兼毛筆(けんもうひつ)、柔毛筆(じゅうもうひつ)です。

初心者は硬めが書きやすいので、剛毛筆か兼毛筆を選ぶと良いです。

次に太さです。太さで1号から10号までありますが、よく言う太筆と細筆をまずは購入すれば良いと思います。太筆が3号または4号、細筆は7号または8号を目安にすれば良いです。

あまり高価な筆を買う必要はなく、1500円位のもので十分です。

私は、太筆3号の剛毛筆と細筆7号の兼毛筆のセットで2000円くらいのものをネットで購入しました。

書道の道具については、YouTubeの華鳳先生の書道教室チャンネルで、とても分かりやすい書道道具の説明動画がありますので、こちらを参考にすると一通り必要な道具を理解することができると思います。まずはこちらの動画を見てみることをお勧めします。

その他の道具

筆は選ぶのがやや知識がないと難しいので、個別に説明しましたが、その他はそんなに迷う事はないと思います。

筆以外で、最低限揃える必要があるものは、

  • 墨汁(液体のものでOK)
  • 下敷き(半紙サイズでOK)※半紙とは、一般によく見るサイズの紙です。約33cm×24cmの大きさのもの
  • 文鎮(どんなものでもOK)
  • 硯(すずり)(プラスチックのものがお勧め)
  • 半紙

最低限これだけあれば、練習もできますし、3級の受験も可能です。

補足で、検定に使用できる下敷きは無地のもの以外も使用できます。例えば、線が引いてある下敷きも検定試験で使用可能ですので、線ありの下敷きが良いです。

初めに道具にお金をかけすぎて、途中でやめましたと言うこともなきにしもあらずなので、とりあえずは最低限の道具だけ揃えておくのが良いです。

3級受験中に隣の人が使っていて、良いなぁと思った道具は、「吸い取り紙」です。墨で字を書いた後に乾いていない墨を吸い取る紙ですが、これは試験本番までに買っておけばOKです。

練習には欠かせない「水で書ける紙」

水で書ける紙って知っていますか。

これは絶対に買った方が良いです。相当重宝しました。値段もそんなにせず、10枚位あれば十分に練習ができます。水で書いた字は、すぐに乾いて消えてしまいますので、そんなにたくさんの枚数は必要ありません。

毛筆の練習するために、毎回毎回、硯に墨入れて、筆に浸して、練習して、筆を洗って、乾かして をやるのは、結構大変なんです。時間もかかります。

ちょっとした隙間時間に、練習するためには、この水で書ける紙は必須です。

私は、朝食と夕食後に、筆と水と水で書ける紙を出して、10分程度、毎日練習していました。この毎日のちょっとした練習の積み重ねが上達には欠かせません。

Amazonなどで1枚あたり150円くらいの値段で買えます。

練習のやり方

道具も揃えたことだし、「よし、練習するぞ!」と気合だけは十分ですが、何をどのように練習すれば良いか、さっぱり分からないと思います。

まずやることは、受験する級の過去問を一通り確認

最初に、受験する級の過去問を確認して下さい。出来るなら下手でも良いので一回解いてみて下さい。

過去問は公式HPに掲載してあります。(問題例と解答例

これをやることで練習の目標や何に重点をおいて勉強すべきかがぼんやりと見えてきます。

私の最初の印象は、意外といけそうだなという感じでした。

たくさん書いて上手くなろう

3級を受験するとして、大きな練習の流れは、「楷書」→「行書」の順で練習するのが良いです。

楷書も最初の最初は、横線、縦線、止め、ハネ、払いを一通り練習してから、簡単な漢字、カタカナ、ひらがなの順でやっていくことをお勧めします。ひらがなは意外と難しいんです。

実際に、字を書いて練習するにあたっては、「上手い人はどのようにして書いているか」を知って、真似をすることが上達の近道です。

お手本は、本であったり、ウェブで見つけることができますが、どのようにして書いているかが分からないので、ほとんど使用しませんでした。私の場合は、最終的に、練習は、youtubeの動画を手本にやってみるのがベストだという結論に至りました。

私がお手本にしていたyoutube動画は、東宮たくみ先生の動画です。ご紹介までに動画を添付しておきます。

基本のとめ・はね・はらいから、楷書、行書に至るまで、多くの見本が動画で見れるのでお勧めです。

忘れてはいけない理論問題

3級は、実技問題と理論問題があります。実技問題は、毛筆で字を実際に書く問題です。一方、理論問題は、問題を解いてマークシートに回答するものです。

字を書くことばかりに夢中になって、理論問題の勉強するのを忘れてしまいがちです。私もすっかり忘れており、試験1週間前から焦ってやり始めました。

けど、義務教育を修了している人であれば、1週間もあれば十分だと思います。

一度、小学校で習っているような問題ばかりですので、新規で覚える事はほとんどなく、復習がメインになります。

特に書き順と部首はすっかり忘れていることが多いと思いますので、しっかり復習しましょう。

本番前の練習

試験本番が近くなるとやっておくべきポイントは、

  • 手刷りの半紙を使って練習する
  • 過去問を公式HPで調べて、時間を測ってやってみる

この2点は必ずやって下さい。私の場合はここをおそろかにしていたので本番で焦ることになりました。

まず1点目の手刷りの半紙で練習する ですが、半紙は機械で刷ったものと、手作業で刷ったものがあり、表面のざらつき、墨の吸収やにじみ、筆の滑り具合が全く違います。

3級の本番では、手刷りの半紙が回答用紙になるので、同じような紙で練習しておいて下さい。

2点目の過去問を時間を測ってやってみる ですが、本番は意外と時間がありません

試験は、早く終われば退席できますが、受験者で終了前に退席している人はほとんどいなかったです。みんなギリギリまでやっていました。そのくらい試験時間は短いです。

本番に焦らないように、しっかり時間配分出来るように、練習して下さい。

今回はここまでです。

次回は試験本番当日から結果発表までについて紹介したいと思います。次回をお楽しみに!

コメント

タイトルとURLをコピーしました