【よく分かる】半導体デバイスの種類について(大別するとたったの7つです。)

半導体

半導体デバイスは色々と名前を聞くけど、全体像がどうなっているか理解できない。それぞれのデバイスがどのようなものかが分からないという方は多いと思います。今回は半導体素子を集めて作る半導体デバイスの種類とその機能について全体像がわかりやすいように解説します。初心者にもわかりやすく、専門用語をなるべく少なく解説していきますのでぜひご一読いただけますと幸いです。

これまで、半導体とは何か化合物半導体とは何か半導体素子の種類についても解説しています。興味のある方はご覧ください。


半導体デバイスの種類について

まずは、種類について全体像を説明して、その後に個別の解説をします。

半導体デバイスの種類の全体像

半導体デバイスの分類は、WSTS(世界半導体市場統計:World Semiconductor Trade Statistic)が定義する分類がわかりやすいので、この分類を使用します。

種類は、ディスクリート半導体、センサ半導体、オプトエレクトロニクス半導体、マイクロ半導体、ロジック半導体、アナログ半導体、メモリ半導体の7つです。早速、それぞれの半導体デバイスの簡単な解説に入ります。

半導体デバイスの種類ごとの簡単な解説

ディスクリート半導体

初めにディスクリート半導体です。ディスクリートを英語で書くと、”discrete”で、直訳すると”個別の”という意味ですので、ディスクリート半導体とは、その名の通り、個別で機能を発揮する半導体です。1つの半導体素子だけでパッケージされた製品になります。

ディスクリート半導体はダイオードやトランジスタがありますが、ダイオードやトランジスタってほとんど集積回路の中に組み込まれるので、ディスクリート半導体として一つの製品になっているものは少ないです。けど、ダイオードやトランジスタでも集積回路の中に組み込むことができないものがあるんです。それは大電力を扱うトランジスタやダイオードのような特殊なものです。これらは、単体として製品化されるのでディスクリート半導体として残っています。ディスクリート半導体の8割くらいは大電力を扱うパワートランジスタというのが現状のようです。

ディスクリート半導体の残り2割は何かというと、小信号を扱う半導体です。研究開発の時に使うことが多いです。集積回路を開発する過程で、ここにこの機能を入れてみようかのように実験的にディスクリート半導体を入れ込む時に使います。

集積回路が出来上がって、製品として量産化する段階では、ディスクリート半導体製品として集積回路に組み込むのは、コスパが悪いですし、小型化に繋がらないので、集積回路の中にその機能を組み込んだ設計にして量産化しています。

このようなことから、ディスクリート半導体は特殊用途のためのものは残ってはいますが、半導体デバイス製品の全体に占める割合は、数%と小さいのが現状です。

センサ半導体

センサ半導体は大部分はMEMSと言われるものです。MEMSは”Micro Electro Mechanical Systems”の頭文字をとったものです。私たちが普段お世話になっている半導体でして、一番身近に感じることができる半導体です。

センサ半導体は、圧力、加速、回転などの物理的な動きを感じ取って、電気信号としてコンピュータに伝えることができます。

スマホのカメラの手ぶれ補正機能、家庭用の血圧計、スマートウォッチに搭載されている活動量計(歩数、移動距離、高低差の計測)は全部このセンサ半導体のおかげです。また、最近はテレビゲームやスマホゲームでジャイロ機能を使ってゲームできますが、ジャイロ機能もセンサ半導体のおかげなのです。

さらにセンサ半導体は、小さいです。マイクロメートルオーダーなので、0.000001m位の大きさです。

オプトエレクトロニクス半導体

オプトは光という意味ですので、オプトエレクトロニクス半導体とは光に関係する半導体デバイスのグループのことです。具体的には、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、フォトダイオード(受光ダイオード)、イメージセンサなどです。

発光ダイオードを英語でいうと、LEDです。LED電球などと最近では当たり前のように日常生活の中で使われるようになりましたが、これも結構最近の話で、青色発光ダイオードが発明されたからなんです。日本人が発明してノーベル賞取りましたね。1990年の頃の出来事です。青色以外の赤色と緑色は早い時期で発明されていました。けど光の全ての色を表現するには、赤と緑だけでは足りなくて、青の光が必要だったんです。光の三原色と呼ばれるものです。このように青色発光ダイオードが発明されてから爆発的に製品化が進み、日常生活に取り入れられるようになりました。

レーザーダイオードは、化合物半導体(AlGaAs、InGaAlP、InGaNなど)が発する光を増幅させて、高い直進性、単一波長の光(レーザー)を発出できる半導体です。レーザーダイオードは光ファイバー通信機やブルーレイプレイヤーなどに使われています。

フォトダイオードやイメージセンサは、光を察知して電気信号に変えるデバイスです。イメージセンサはスマホ、デジカメなどのカメラに搭載されるデバイスです。

マイクロ半導体

マイクロ半導体は、MPU、MCU、DSPがあります。

MPUは、マイクロプロセッサのことで、Micro-Processing Unitの略です。パソコンの中央演算処理装置(CPU)として使われる電子デバイスで、演算や制御を行います。

MCUは、マイクロコントローラのことで、マイコンと呼ばれるものです。Micro-Controller Unitの略です。機能は、MPUと同じ演算と制御になります。MPUとMCUの違いは、スペック(主に処理速度)の違いです。パソコンのような高性能が求められる電子機器にはMPUが搭載され、洗濯機などの家電にはMCUが搭載されます。MCUは、MPUの性能が低いものということではなく、特定の利用目的のために不必要な機能を除外して、低価格化させた半導体デバイスです。

DSPは、デジタル・シグナル・プロセッサのことです。名前の通りデジタル信号を処理する機能を持っている半導体デバイスです。現代社会はほぼあらゆるものがデジタル化(1と0の信号)され、流通しています。音声、映像などのデジタル化されたデータを高速で解析・処理して汎用できる状態にするのがDSPの機能です。

ロジック半導体

ロジック半導体は、バイポーラ、汎用ロジック、ゲートアレイ、スタンダードセル、ディスプレイドライバなどがあります。

汎用ロジックは、ほぼ全ての電子機器に搭載されているもので、論理演算などの基本的な回路を1つにまとめた半導体デバイスのことです。

ゲートアレイやスタンダードセルは、標準化されているセルを組み合わせて配置・配線したデバイスのことです。

ディスプレイドライバは、ディスプレイ(画面)を動かすために必要なソフトのことです。

アナログ半導体

アナログ半導体には、アンプ(増幅器)、インターフェイス、電圧レギュレータ、コンバータ、コンパレータなどがあります。

アナログ半導体は、デジタル(0と1)でなく、波の状態のような連続的なデータ(アナログ)を扱う半導体のことです。アナログ信号を増幅したり、アナログからデジタルに変換したり、デジタルからアナログに変換したりする半導体デバイスをアナログ半導体と言います。

メモリ半導体

メモリ半導体には、DRAM、SRAM、マクスPROM、EPROM、フラッシュメモリなどがあります。

メモリ半導体とは、電気的にデータを記録する半導体デバイスのことを言います。

RAMとROMという文字の並びがありますが、RAMは、Random Access Memoryの略で、揮発性メモリと呼ばれており、電源を切ると記録が消えてしまうメモリになります。一方で、ROMは、Read Only Memoryの略で、不揮発性メモリと呼ばれており、電源を切っても記録を保持し続けるメモリです。

RAMとROMの使い分けですが、RAMは、高速の読み書きができますので、中央演算処理装置(CPUと呼ばれ、コンピュータの脳に当たる役割を果たすところ)に内蔵して、データ処理をサポートするために使用されます。

一方で、ROMは、低速の読み書きになりますが、記録できる容量が多く、値段も安いです。まとまったデータをRAMに提供する時に使用されます。


以上、7つの種類の半導体デバイスになります。なんとなく全体像を理解していただけましたでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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