化合物半導体とは何か【概要、種類、特性をわかりやすく解説】

半導体

前回半導体とは何かということについて解説しました。今回は半導体材料の中でも複数の元素が結合してできる化合物半導体について解説していきます。

初心者にもわかりやすく解説していきますので、興味のある方はぜひご一読いただけますと幸いです。

化合物半導体を作ることができる元素は大体決まっています。

化合物半導体を構成する元素は、周期表の12族、13族、14族、15族、16族の元素のどれかです。族というのは周期表の縦の列のことです。念のため、元素と元素記号を第5周期まで書き出しておくと、

  • 12族 亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)
  • 13族 ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)
  • 14族 炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)
  • 15族 窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)
  • 16族 酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)

という顔ぶれになります。ほとんどの化合物半導体は、これらの2種類以上の元素の組み合わせです。

元素の組み合わせも大体決まっています。

化合物半導体を構成する元素の組み合わせも大体決まっており、次の族の組み合わせです。

  • 12族と16族  ZnSe, ZnS, ZnO, CdS etc..
  • 13族と15族  GaAs, GaN, InP, InGaAlP, InGaN etc..
  • 14族と14族  SiC, SiGe etc..

族で組み合わせが決まってしまう理由は、同じ族の元素はだいたい性格が似ているためです。

化合物半導体は元素の組み合わせで特性が違う。

元素の族で組み合わせが決まっていますが、化合物半導体はその組み合わせで特性が違います。逆に言えば、これを利用して、化合物半導体の特性をコントロールすることもできるのです。

化合物半導体の特性として、半導体の中を電子が移動する速度(電子移動度)、光を発する特性(発光)、光を吸収する特性(受光)、耐熱性などが挙げられますが、元素の組み合わせ次第で、これらの特性が大きく違います。この違いが化合物半導体の用途を決定づけるものになります。

太陽光パネルは半導体の受光特性を利用したもの

化合物半導体の課題は量産化

半導体材料のトップを走るシリコンとの大きな差は、量産の容易性です。化合物半導体は量産への課題が多いです。

シリコンに比べて原料が高価なので、全般的にシリコンよりも高価です。

また複数の元素から構成されているので、きれいな結晶が上手く出来にくく、ひび割れなどが起こりやすいです。結晶がきれいに出来ないということは、元素の並びにばらつきがあるということなので、半導体材料の性能が同じになりにくいということです。化合物半導体に比べて、シリコンは結晶がきれいにできます。どこで切ってもシリコンはきれいに元素が並んでいるので、性能が同じ半導体材料が作れるんです。

化合物半導体にはこのような課題があるので、シリコンが半導体材料の主流になっています。

将来は化合物半導体の活躍が鍵を握る。

シリコンを抜いて化合物半導体が主流となるには、乗り越えなければならない課題がいくつもありますが、化合物半導体はシリコンが到底及ばないような優れた特性を持っています。

化合物半導体が広く実用化し、世の中に出回れば、私たちの生活がさらに便利かつ豊かになったり、地球温暖化現象などの地球規模の問題の解決に大きく寄与できます。

今後の化合物半導体の活躍に期待しましょう。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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