今回は、欧米人と日本人の家に対する価値観、考え方の違いについてご紹介します。
欧米人の家に対する価値観

イギリスやアメリカでは、家の平均寿命が60〜80年程度と非常に長いそうです。平均がこの年数ですので、築100年超の住宅も珍しくありません。
日本では築100年の家は、ほとんど見ることができないですよね。日本の物件サイトでも見たことがありません。
言われてみれば、ヨーロッパの街並みには、とても古い建物がたくさん建っているように思います。
欧米では、家は1世代で使い捨てるものではなく、子・孫の世代に引き継ぐものという価値観が根付いているそうです。ですから、家を長持ちさせるために、家の修繕を繰り返して大切に住んでいます。
欧米のホームセンターが非常に充実しているのはその所以ですね。
日本人の家に対する価値観
日本人の家に対する価値観を見てみましょう。近所を歩いていても、新築住宅を建築しているところを見ることが多いと思います。それだけ新築住宅に需要があるのでしょう。日本の物件サイトにも新築住宅が数多く見られますよね。
1990年代ごろは日本の家の寿命は30年と言われ、数千万円という大金を支払って購入した家を30年足らずで建て替えたり売ったりしていました。日本人にとって家は、次の世代に引き継ぐ資産ではなく、1世代で使い捨てにするものだったのです。
しかし、日本人の家に対する価値観はここ数十年で大きく変わってきています。日本の住宅も長く使われるようになっており、データによると65年(2011年時点)という調査結果も出ていますが、この年数は、空家のまま取り壊されていない家屋もカウントしているため実際はもっと低い年数が実態でしょう(下の参考欄を参照)。いずれにせよ、かつての使い捨ての文化から、欧米の文化に近づいていることを示していると言えるでしょう。
「建物の平均寿命に係る既往研究」
○工学院大学 吉田教授、早稲田大学 小松教授らは、木造住宅はじめ各種用途・構造の建物について、固定資産台帳の滅失 データを基に、区間残存率推計法を活用し、家屋の平均寿命(残存率が50%となる期間)に係る調査研究成果を発表し ている。
○小松教授が2011年10月~11月に実施した最新の研究成果によれば、木造家屋について、専用住宅の平均寿命は65.03年と いう結果となっており、1997年調査の43.53年から年数が伸びている。
※この平均寿命の算定には、経済的な要因等物理的に使用可能であっても取り壊された家屋が滅失データとして含まれる一方、 使用可能な状態であっても空家のまま取り壊されていない家屋は残存している住宅として計上されている。
用 途 | 2011年 調査 | 2006年 調査 | 1997年 調査 |
木造専用住宅 | 65.03年 | 54.00年 | 43.53年 |
家に対する価値観の違い
最近では日本も欧米の価値観に近付いてきたといえますが、日本人と欧米人は、家に対する価値観が違っていることがわかったと思います。これは中古住宅の市場にも数字として現れており、全住宅の流通数にしめる中古住宅の割合が日本では10〜20%位、欧米では80%超えとなっています。欧米では、丁寧に修繕して良い状態に保たれた中古住宅は、新築より価値が高いことがよくあるそうです。日本ではまず有り得ないですね。欧米では、築100年以上の家にも高い価値がつくことがあるそうです。日本では単純に築年数が大きいと、価値が下がりますが、欧米では築年数よりも家そのものの状態が重視されると言えるでしょう。
住宅の耐久性では、日本と欧米ではさほど変わりはないはずです。日本は地震が多いという特性はありますが、気候は、温帯で似通っているため、家の寿命の差は、住んでいる者のメンテナンスの差だと考えられます。さらに日本では、修繕するというよりは、壊して建て直した方が楽という文化が根強く残っていることも要因として挙げられます。
欧米では、修繕を続けて長く使い続ける文化が根付いていることから、DIY(業者に依頼せず自分で行うこと)で家のリフォームをすることが日常的です。
まとめ
今回は、日本人と欧米人の家に対する価値観には違いがあることについて解説しました。個人的には、家は欧米の価値観のように修繕を積み重ねて大切に長く使うべきだと思っています。長く、大切に使い続けた家には、深い愛着が湧くものです。また、建て直すよりも修繕を続けたほうが経済的にも良いでしょう。孫の代まで使える家であるようにこれからもしっかりメンテナンスしていきたいものです。
家のDIYについて興味のある方は、下記に紹介する家のDIYのメリットやデメリットをまとめた記事などをご覧ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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