バイオテクノロジーが作り出す未来がもうそこまで来ている!:『バイオものづくりへの挑戦』を読んで

本の紹介と書評
管理人
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『読書を通じて知ったことは知って終わりではなく、本の主張に対して自分なりの考えを持ち、自分にあった形で生活や仕事に取り込み、人生をより豊かにすることが重要です。』

このようなポリシーに基づき、このページでは本を読んで思ったこと、考えなどを好き勝手に記しています。

本選びの参考にしてください。

今回の書評は『バイオものづくりへの挑戦』(中央経済社)です。

著者は山本一彦氏です。

山本一彦氏について
神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授、同大学院経営学研究科教授、神戸大学先端バイオ工学研究センターバイオエコノミー研究部門長、株式会社新プロジェン代表取締役社長兼CEOを兼任兼業

本を読んで思ったこと

次の産業革命をもたらすはバイオテクノロジー。特に医薬品に与える影響は大きい

 最近はバイオという言葉を色々なところで耳にするようになった。それもそのはずでバイオテクノロジーは次の産業革命をもたらすテクノロジーと言われているらしい。バイオテクノロジーは広い分野に影響を与えるらしく、例えば医薬品、食料、素材、燃料などです。バイオ燃料、培養肉、バイオ医薬など確かに色々ありそうだ。
 特に著しい成長が見込まれるのは医薬品分野とのこと。今は低分子医薬品の割合が高いが、今後は核酸医薬、ペプチド医薬などのバイオ医薬品のシェアが圧倒的に増えるとのことです。

バイオテクノロジーの鍵を握る合成生物学とは、生命体を一から作るテクノロジーだけど、これ結構危険じゃないの?

 これらの先端医薬の開発を握るのが合成生物学という分野で、一から生体物質を作るアプローチの学問だ。このアプローチが可能になったのは、次世代シーケンサーの出現、AI発達の影響とのことです。つまり、現存する生物のDNAの塩基配列を解読することができるようになり、どのような配列がどのような生物的特性をもたらすのかが次第に分かりつつあるということだ。既に人工的に細胞を作ることに成功しているようで現実性の高いテクノロジーだと言えそうです。
 究極的にはロボットではない人造人間が作れるということだろう。例えば超人的な身体能力を持った人間を作り出したいとすると、超人的な身体能力をもたらす遺伝子を組み込めば良いと言うことです。何となく素人の私にでも、世の中がぐちゃぐちゃになることが予想出来ます。

 遺伝子をいじって病気を治す治療を遺伝子治療というそうです。そのような治療の研究がなされているとのこと。遺伝子治療が当たり前になれば人は遺伝子をいじることへの抵抗感が減り最終的には遺伝子をいじって作り上げた人間が生まれ、世の中に普通に存在する世界になるのだろうか。遺伝子操作の世界的な規制がどうなっているか知らないが、国際社会での決まり事は基本的に強制力を持たないので現状では国家単位での規制ということだと思うが、仮に全く規制をかけない国が次々に人造人間を作り出した場合、作っていない国が損するので作っていなかった国も人造人間を作り出すような気がします。やって良いこととダメなことをしっかり線引きしないと収集がつかなくなるのではないでしょうか。

スマートセルを作り出すことを専門とするバイオファウンドリーが出現。DBTLサイクルが鍵

 バイオ分野でファウンドリのベンチャー企業が注目され始めている。米国を中心に。バイオファウンドリと言われるそうです。半導体の世界では台湾のTSMCがファウンドリーとして名高いがその形態は異なるようだ。

半導体ファウンドリとして有名なTSMCは製造のプロセスを手がけるが、バイオファウンドリーは研究開発プロセスを手がける。例えば、有用素材を作り出す微生物を大量培養して有用素材をたくさん作り、それを製品化して売るという一連のプロセスであるとすると、バイオファウンドリーは有用素材を作り出す微生物を創出するところを担当する。そのような新規微生物を作るために重要なサイクルがDBTLサイクルだ。デザイン、ビルド、テスト、ラーンの頭文字をとって名付けられるこのサイクルが鍵とのこと。微生物を設計して作ってみて試してみて学んだことをまた設計に反映する。これを繰り返してより良い微生物を作るというものだが、当たり前と言われれば当たり前のことのような気がする。とは言ってもこれを高速に回すにはたいそうな技術が必要でその一つがAIであったりシーケンサーということだ。

有用素材などを作り出す新規微生物、スマートセルと呼ばれるらしいが、これを作り出すことがバイオモノづくりの一番の障壁で、スマートセルを作り出すための研究開発は企業にとってギャンブルのようなもの。成功すれば大儲け、失敗すれば得るものなしといったところか。バイオモノづくりにおけるギャンブル的なプロセスを専門にやってくれるのがバイオファウンドリーなので注目が集まるのも納得できる。

日本はバイオファウンドリーで戦えるのか。鍵は次世代シーケンサーとA I

バイオファウンドリーは簡単なものかというと全くそうではない。非常に高い技術が必要で、何よりデータが必要だそうだ。データというのは例えばゲノム情報のようなデータで、このデータを解析してそれにより得られた知見でスマートセルをデザインする。データが多ければ多いほど得られる知見が多いのでより良いスマートセルの創出が可能になる。

次世代シーケンサーでより早く、より正確にゲノムを解析する。そして得られたデータをAIにより情報処理してデザインに活用する。

AIはアメリカ、中国が強い。次世代シーケンサーはアメリカ、中国、欧州が強い。バイオものづくりで鍵となる技術で世界的に優位に立てていない日本に勝ち目はあるのだろうか。

しかも人の遺伝子情報なんていえば究極の個人情報なので収集するにも日本では大問題になるだろう。

次の産業革命でバイオテクノロジーが開花する頃には、すでに日本は世界から取り残されていて高いお金を払ってアメリカや中国から買うことになりそうだ。

著者の山本氏はまさに今が日本にとっての分岐点だと言っているが、全くその通りだろう。今何もやらないと完全に取り残されること間違いなしということでしょう。

日本のお先真っ暗な未来はさておき、遺伝子治療のような画期的な治療法が現実に可能になることでこれまで克服できなかった病気を克服できるのではないか。遺伝子によって引き起こされた病気や個人の体質など、遺伝子自体を編集して病気にかからないようにする又は治療出来るというは画期的だ。今後急成長するバイオテクノロジーが良い方向に使われることを期待しましょう。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

本サイトでは他にも好き勝手に本を読んで思ったことを書いています。

>>相続税対策は絶大!残される家族のために早めに税理士にご相談を:『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』を読んで

興味のある方はご覧ください。

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